マックス・ギュンター氏の著書「マネーの公理」を読みました。
この本は、株式投資だけでなく、不動産投資をはじめとする、ありとあらゆる「投資」をされる方に一度読んでもらいたい本です。
本書では「投資」ではなく、あえて「投機」と記されています。
その理由は、ジェラルド・ロブ氏が言い表した「全ての投資は投機である。唯一の違いは、ある人はそれを認め、ある人はそれを認めないことだ」という考えに基づいています。
要は、「投資」「投機」を含めた、お金をリスクにさらす行為に対してどのように考え行動したら良いか、とういことを本書は教えてくれます。
本書の構成は、12の公理と16の副公理を解説しています。
特に、第一公理から第三公理までの3つの公理が重要で、常に心掛けておくべきものである、と感じました。
以下、その代表的な3つの公理から重要なポイントを整理したいと思います。
第一の公理「リスクについて」
第一の公理では、リスクを取ることの重要性を解説しています。
結局のところ、適切にリスクを取らない限りお金持ちになるためのチャンスはないと考えることができますね。「ノーペイン、ノーゲイン」という考えにも通ずるものがあります。
本書のなかでも、
「給与や賃金収入でも金持ちになることはない。不可能だ。世界の経済構造は、あなたに不利になるようにできている。」
「大多数を占める貧乏人クラスから這い上がる唯一の方法はリスクをとることである」
とあります。
分散投資の危険性についても指摘されており、重大な欠陥のひとつとして、
分散投資することで、あなたは、空中にある数多くのボールを同時に何とか維持しようとしているジャグラーになっている。
分散投資をすることで、それぞれの投資先の動きを同時に追わないといけなくなり、自分の思った方向性と違った動きをしたときに適切な処置ができなくなる危険性を指摘しています。
自分の目の行き届く銘柄数は改めて考え直さないといけないですね。
多くの著書では5~10銘柄に集中すべきとあるので、だいたいこのラインを目安に見直したいと思います。
第二の公理「強欲について」
多くの投資本では、利益確定はできるだけ先に延ばすことを重要視していますが、本書の第二の公理では、「常に早すぎるほど早く利食え」と指摘しています。
せっかくの利益をまだまだ伸びると考え、欲張ってはダメであると。
第二公理のなかの副公理で次のようなものがあります。
あらかじめどれだけの利益がほしいのかを決めておけ。そして、それを手に入れたら投機から手を引くのだ。
投資では、「頭と尻尾はくれてやれ」といった格言がありますが、これと似たような考え方でしょうか。
本書では、利食いした後に自分に何かしらの褒美を設けるべきと指摘しています。儲けの一部を使うことで投機の終わりが楽しみを伴うものになると言っています。
利益が出たときは、このようなルールで一部を自分あるいは家族のために使ってあげるのは良いアイデアと思います。
結局のところ株式投資でいくら儲けても、自分の幸せのためにお金を使わないと意味がないですからね。
「利益の目標を決める、儲けが出たらその一部を自分のために使うことで一区切りつける」ことが大切なんですね。
第三の公理「希望について」
第三の公理では、投機がうまくいかなかったときにどの様に振る舞うか、要は損切りの重要性について説いています。
第三の公理にて
船が沈み始めたら祈るな。飛び込め。
とありますが、このフレーズが全てを物語っていると思います。
株価が下がり始めたら迅速に損切りするのが大切ですね。
損切りは心理的にはつらいところがありますが、大きな利益を出すための必要経費のようなものと考えるようにしています。
本書でも小さな損失については、「投機のコストの一部なのだ。それができないのなら、大きな利益を期待する権利はない。」とバッサリと言っています。
「損切りの損失=投資のコスト」という考え方がしっくりきました。
まとめ
全ての投資における儲けを出すための基礎的な考え方を学ぶことができます。
本書は名著であることで知られています。実際に読んでみると、非常に読みやすく、投資をされる方には気づきが多い本ではないかと思います。
今回は第三の公理までを紹介しましたが、これら以外にも参考になる部分は非常に多いです。
文章の表現の仕方がおしゃれというのでしょうか、納得させられるような文章が非常に多かった印象です。
投資本にしては、値段も手ごろで、ハードカバーの本で高級感がありますし、ぜひ手元に置いておきたい本です。
未読の方はぜひとも手にとって読んでいただきたい本です。
以上
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