【書評】「幸福の資本論」を読むと幸せな人生の設計指針がぼんやりと見える

書評
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7月末、4連休の最終日に橘玲さんの著書、「幸福の資本論」を読みました。

この本を読んだのは、3回目です。

内容は結構濃密で、多岐にわたります。少し自分の中での整理するためもあり、ブログに記事として書き留めます。

目次です。内容盛りだくさんです。

どのような内容かというと、

人の持っている資本(資産)を、次の3つに分類し、定義します。

①金融資産

②人的資本:仕事の能力、どのような仕事についているか

③社会資本:友人、恋人、家族

3つの資本。これらのポートフォリオをどう最適化すれば幸福になるか。

この3つの資産をどのように設計、構築すれば(最適化すれば)、幸福な人生を送れるか、ということが本書の大筋(目的)です。

本書の結論としては、それぞれの資産で下記のような指針であると述べています。

①金融資産:「経済的独立」、「分散投資」

②人的資本:「好きなことに集中投資する」、「フリーエージェント化」

③社会資本:「小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散する」

これだけではざっくりとして、イメージが沸きにくいと思うので、各資産のポイントを挙げていきます。(ポイントとなる重要な文章を抜粋しています)

金融資産

・収入と資産が一定額を超えると幸福度は変わらなくなる。

※幸福度が明確に上がる水準。(これ以上は幸福度横ばいであまり上がらない)
 収入:年収800万円(世帯年収1500万円)まで
 資産:1億円まで

・資産運用は全世界株式「上場インデックス世界株式(1554)」の積み立てをお勧め。

・もっとも確実に幸福度を上げる方法は、やはりお金持ちになって「経済的独立」を実現すること。

この章は比較的わかりやすいかと思います。

今でしたら、積み立てNISAでeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が最適解のひとつかと思います。

人的資本

・同じ収入なら(あるいは収入が少なくても)、自己実現できる仕事がいい。

・自己実現を「かけがえのない自分になること」と定義。
「まだ出会っていない”ほんとうのわたし”がいる」

・仕事のなかで自分の好きなことを見つけ、そこにすべての時間とエネルギーを投入する。

・試行錯誤によって、自分のプロフェッション(好きなこと)を実現できるニッチを見つけること。

・人生のどこかの時点で組織の外に出て、知識や技術、コンテンツのちからで大組織と取引する「フリーエージェント」化が、高度化する知識社会の基本戦略になる。

人的資本については好きなことを見つけ、それに投資することがいいという主張で、この辺りの主張は、DaiGoさんの「好きをお金に変える心理学」も参考になるかと思います。

社会資本

・「幸福」は社会資本からしか生まれない。(”つながり”が幸福感を生む)

・人間関係は3つの世界から成る。「愛情空間」「友情空間」「貨幣空間」。

人間関係の3つの空間。幸福感に与える影響は愛情空間が最も大きい

・「幸福な人生」の最適ポートフォリオをは、大切なひととのごく小さな愛情空間を核として、貨幣空間の弱いつながりで社会資本を構築する。

・「強いつながり」を恋人や家族にミニマル(最小)化して、友情を含めそれ以外の関係はすべて貨幣空間に置き換える。

理想のポートフォリオ。社会資本は少数の強いつながりをコアに、弱いつながりを広く持つ。

結局のところは、一緒にいて幸福と感じる恋人、家族を残して、その他の関係(友人、会社の同僚)は、自分で人間関係を選択できる状態にすることが幸福につながるということだと思います。

そのために仕事を独立できるようにスキルを磨いて(好きなこと、ニッチなこと)、フリーランス化することが大事なんですね。

まとめ

本書で幸福になるための資本論として、人の持つ資本を3つに分けてそれぞれ、どう最適化すれば幸せになるかを述べていました。

途中話が分岐していくので、何をいいたいのかが少しボケている印象がありますが、内容はすごく面白いものです(分岐含め)。

個人的には、サラリーマンの生き方、やりがいの搾取、うつとセロトニンの話は本筋とは少しずれますが非常に興味深い内容でした。

最後の章の「ほんとうの自分」はどこにいる?も良かったです。

この章の「ほんとうの自分」は、小さいころの自分が友達の中で選び取った「役割=キャラ」であると。結局、自己実現(仕事選び)は幼いころのキャラを思い出すことが近道であると示唆した内容になっています。

本書で一番言いたかったのは、本当はこれなのかもしれないと思いました。幼いころの本当の自分を見つけ出してあげて、自己実現することこそが本当の幸福なのかもしれません。推測ですが。

本書の最後付近にある一文、「幸福な人生を目指して頑張っているときが、もっとも「幸福」なのかもしれません」が印象深かったです。世にも奇妙な物語みないな言い残しですね。

結局のところ、人間は不幸にも、幸福にも慣れてしまう、といことからきている一文です。幸福な人生について考えている本で、最後にこれを言われると、きれいにオチが付いた感じで締めくくられています。

内容濃密ですので、消化不良ならないように、本筋から逸れた部分、難しいところは軽く読み流してもいいかもしれません。

以上

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