大手町のランダムウォーカーさんの著書、「世界一楽しい決算書の読み方」を読んだのでレビューしたいと思います。
この本を読むと財務3表の①バランスシート、②損益計算書、③キャッシュフロー計算書が読めるようになります。
バランスシート、言葉は知ってるし、内容もぼんやりはわかっているんだけど、勉強するにはイマイチ取っ掛かりにくいな・・・、と考えている方におすすめです。
(私がそんな感じでした・・・)
本の構成は、各財務表ごとにチャプターが分かれています(Chapter 1がバランスシート、Chapter 2が損益計算書、Chapter 3がキャッシュフロー計算書、Chapter 4はバランスシートと損益計算書の複合問題)。
キャプチャーの最初に、その財務諸表がどんなものかの説明があります。図を使って分かりやすく説明してくれます。オールカラーですので見やすいです。グラフ中心で説明くださるので、視覚的に理解がしやすいです。

次に、ある企業(2~3企業)の財務諸表が提示され、それぞれどの企業のものであるか、といった問題が出題されます。
この問題について、出題者:著者の大手町さん、学生くん、営業さん、投資家さん、銀行員さん、の登場キャラクターたちが議論しながら答えを考えていくといった流れになっています。
本の読み方としては、まず最初は自分である程度考えてみてから、登場人物たちの会話(ヒント)を読んで考えをまとめていく、といった感じで読み進めるのが良いかと思います。

本書で出される問題は下記のようなものです。(一部です)
・ニトリHDのバランスシートはどれでしょう
(ニトリHD、良品計画、ファストリテーリングのB/S比較)
・コメダHDの損益計算書はどれでしょう
(コメダHD、ドトール・日レスHD、銀座ルノアールのP/L比較)
・ヤフーのキャッシュフロー計算書はどれでしょう
(ヤフーとLINEのC/S比較)
このような感じの問題が出され、答えとその解説がされています。
解説は、これら企業のビジネスでの特徴、強みがどのように財務諸表に表れているかといったことを中心に説明してくれます。
この解説が非常に秀逸で、会社のビジネス戦略を知る面白さ、このビジネスの特徴がどのように財務諸表の数値として表れてきているか、逆に、財務諸表から企業の特徴を推測することができる、ということの面白さを伝えてくれます。
問題に出されている企業も身近な企業ばかりで、この会社のビジネスはこんな面白い戦略だったんだな、といった発見があります。
それでは、実際に本書を読んで、財務諸表がある程度理解できたので、私の持ち株から3つ、その決算書の財務諸表を読み解き、会計クイズを作ってみました。
(財務諸表の素人である私が本書を読んでここまで作れるようになります)
以下の3企業のバランスシートと損益計算書です。
〇アプライド・・・西日本を軸にパソコン小売店を展開。法人向け売り上げが主体。
〇兼松エレクトロニクス・・・仮想化ビジネスを中心にITインフラの構築、保守、運用を手掛ける。
〇ナフコ・・・家具専門店とホームセンター併設店が主。



②は固定資産の割合が低いのが特徴ですね。
①と③は似たようなB/SとP/Lですが、固定資産は①の方が大きい割合を占めています。
(以下答え)
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
答えは、①ナフコ、②兼松エレクトロニクス、③アプライドです。
兼松エレクトロニクスはIT企業らしく、B/S左側の固定資産の割合が小さいですね。この3企業の中では営業利益率も高めです。
ナフコ、アプライドは共に小売り系の会社ですが、ナフコの方が大型商品である家具を取り扱う分、店舗が大型になり、固定資産の割合が大きいと読み解くことができます。
このように財務諸表からグラフに起こすことで、企業の特徴が視覚的にわかりやすくなります。
本書の最後のほうで、このようなグラフをエクセルで起こす手順が具体的に示されている点も良かったです。このグラフも参考にして作りました。
(データの順番を入れ替えるのところは、データ選択からするよりは、グラフの棒をダブルクリックして、選択されているセルを入れ替えるやり方のほうがいいのかなと思いました。やりやすい方でいいと思いますが。)
投資する際に、似たような企業を並べて比較することで、新たな発見と投資判断の材料が見つかるかもしれません。
まとめ
非常に手が込んでおり、完成度が高い本だなと感じました。分かりやすさに拘った感じが伝わってきます。
読んでいて楽しく財務諸表(のグラフ)を読み解くことができました。なるほどと思うところが多かったです。見やすく読みやすい本でしたのでスラスラと2時間弱で読めました。楽しいのであっという間でした。
本書を読むと、決算書の財務諸表からグラフを作りたいと思わせてくれます。
以上
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